2011年8月28日日曜日

にぎやかに藍染めセミナーが終了

庭には、オシロイバナがやっと咲き始めてくれ、お茶室のガラス越しに赤、黄、白と日ごと賑やかになってきます。


8月27日・第一回「基本の基セミナー/藍を識る」の当日、天気予報だと雨。でもその日は曇り空で、気温も26度と過ごしやすい日和でした。セミナー参加の皆さんは、少し汗ばみながらもギャラリーに来てくださいました。第一回のお話が午後1時から、第二回が3時半からのセミナー。どちらの回も15名前後の参加者で、会場には丁度良い人数だと思います。久しぶりに畳での正座は大変という事もあり、気楽に膝を崩していただきました。

藍型染め作家 吉澤啓さん 飯田市在住

藍型染め作家の吉澤啓さんは、当日の早朝に上京し、その日のうちに帰郷というハードスケジュール。飯田市と東京を片道4時間半のバス移動です。それでも新しい作品や染めに使う型紙などをたくさんに持参してくださいました。
型紙を実際に見せての説明






お話は、藍染めの歴史から布、染料の話と・・・。それも欧州の古代建築、日本の古代建築までをも織り込んだ内要で皆さんも熱心に聞いてくださいました。
特に皆さんが興味を持たれたのが、赤い染料のコチニールの話。サボテンに自生する一種の貝殻虫です。この染料はエジプト期より以前から布の染料として使われていたとか。薄絹のショールを染め上げた赤は上品で優しい色合い、年齢に関係なくお洒落の小道具として重宝する逸品ものです。
コチニールで染めた薄絹のショール。
63,000円(税込み)

藍型染めの薄絹ショール
63,000円(税込)
秋を告げる麦とトンボ柄の
両面染め絹ショール
18,900円(税込み)
絹なのに張りがあり、肩にふんわりと添ってくれます。丈も長く、幅広なので巻き方もいろいろアレンジができて、ドレスに合わせての演出が無限に広がるようです。この絹、大切に使えば200年は使えるそうです。









すっかりこの赤色と肌触りに魅了されたお客様も数人・・・、お気に入りの一点を求められました。
とても良くお似合いでアドバイスを差し上げる私も 張合いがありました。
セミナーのお話も終わり、吉澤さんに個々の質問したり、作品に触れたりと楽しいひとときの後は、コーヒーでおしゃべりやワインを楽しんでと暗くなるまで賑やかな一日でした。


■9月のセミナーは、文芸作家の下重暁子さんです。
現代の暮らしにどう工芸品を上手に取り入れていくかをお話していただきます。
現在、執筆中で忙しく日取りの予定が立ちません。決定次第お知らせいたします。
ひとつ知識が増えるのは人生の喜びです。



2011年8月19日金曜日

夏花とそば猪口

当ギャラリーの庭の花は、どうも遅咲きの様子。夏を代表する花、サルスベリがやっと満開になってくれました。花の色は普通よりも濃いようです。夏の暑さに耐えて一生懸命咲くこの花の姿は、毎年、私にちょっと勇気を与えてくれます。そう言えば、このサルスベリも樹齢50年。年輪を重ねた輝き・・・、ますます勇気をもらえます。

この数日間、異常な暑さでした。毎年、毎年、気温が高くなるのを体感しながら、このままいくとどうなるかとちょっとした恐怖も感じます。そういえば小学生の頃、地球の地殻変動によって、いつかハワイ島と日本列島はつながる・・・と聞いた記憶があります。子供心に「それじゃ、いつでも海外旅行なのだ」と、脳天気な事を考えたものです。まだ、日本は海外旅行が自由化になっていない、昔、昔のお話です。
さて、この暑さの中どうしてもメニューは麺類になりがちです。そこで現在、ギャラリーにあるそば猪口にもなる器をご紹介いたします。

そば猪口といえば染付け。有田焼の代名詞となっている古伊万里の絵柄を配した器は、王道をいくものです。白地に藍の文様は、涼やかにしっとり食卓を演出してくれますし、たっぷりに麺つゆを入れた様が似合います。しかも丈夫なのがいいですね。長い間使っても飽きがこないそば猪口です。
●貴祥窯作 7665円
口径78mm×高さ67mm


やはり有田の瑠璃釉の器。美しい海の青さをしみじみと思わせてくれる瑠璃釉には、不思議に引き込まれる魅力があります。真っ白な素麺や氷を浮かした冷や麦などに供すると、夏だからこその演出ができます。薬味のネギやミョウガ、錦糸卵などが映える器です。
●坂本達哉作 4700円
口径105mm×高さ70mm




粉引きの器は、何の食材にも合う重宝なものです。ご飯茶碗にもなるような大振りのこの器には、具材の多い麺類の時に最適なサイズです。たっぷり青味の野菜、鶏肉の蒸し物などを添えたザルうどんを召し上がると、その旨味も倍となるでしょう。
●新美吉昭作 5250円
口径105mm×高さ65mm




もうひとつ大振りの器は、織部ですが、内側は穏やかな表情です。この織部の特徴は薄く引かれた肌触りが、とても優雅な気持ちにさせてくれます。見た目より軽く、しっくり掌に収まる形態が、暖かみある安心感をもたせてくれます。ご飯茶碗として使うなら、玄米がしっくり合いそうですね。
●新美吉昭作 5250円
口径96mm×高さ74mm



今年は残暑が厳しいそうです。ひとつお気に入りの器でさらりと旨い麺料理を食べましょう。西日に輝くサルスベリの花を眺めながら・・・。日本の夏ですね。
器のお問い合わせはメールにてお願いします。
石仏は暑さにめげず穏やかに手を合わせます。
感謝の気持ちを忘れたくありませんね。


2011年8月11日木曜日

藍染めセミナー開催

 「工芸ギャラリー&カフェすぎた」では、月に1回セミナーを開催いたします。
その目的は、伝統工芸の作品や日本文化に関わる「基本の基シリーズ」とし、談話会スタイルで、気軽に工芸作家さんや、専門講師、文化人とひとときを過ごしていただきながら、日本の素晴らしさを再発見していきたいと思います。

■シリーズno.1『藍染めを識る』
ゲスト:藍型染め作家/吉澤 啓(よしざわ あきら)
吉澤さんの作品は、単に藍染めという事ではなく、柄のデザインから始まり型紙を起こし、そこから丹念に染めあげていきます。その繊細で緻密な技法は江戸小紋でみる事ができます。

特に、吉澤さんの作品には、「両面染め」という特別な技法がふんだんに取り入れられています。現在、この技法はほとんど見る事ができなくなっており、貴重な存在といえます。










吉澤さんは、多摩美術大学デザイン科を卒業後、グラフィックデザイナーとして大手企業の広告制作に携わっていました。が、ある日突然に故郷である長野県・飯田市に帰り、そこに『藍風』という藍染め工房を造りました。奥様がやはり同窓生の染織家だった事もあり、夫婦での作家活動を始めて35年が経っています。ひとつ残念な事は、その奥様(吉澤真知さん)が、2年前に病のため逝去された事です。いま現在は、真知さんの遺志も継いで啓さんが一人で頑張っています。

吉澤さんは、和服の染めだけに拘らず、新しい分野の素材にいつも挑戦しています。特に世界で最も薄い木綿「オーガニック・コットン」を染めたショールは、うっとりするほどの肌触りの良さと高級感、そして品格があります。素材の良さを重要視する吉澤さんらしく、そのショールは3回染めという、手間をかけたもの。その効果は存分に発揮された作品になっています。


そんな吉澤さんと、藍染めの話に興じてください。どんな質問にも心よく答えていただけると思います。

●「藍染めを識る」/吉澤 啓
●時/8月27日(土曜日) 13:00、15:30の2回
●参加人数/各回 15名程度(事前に予約を頂ければ、お席を用意いたします)
●参加費/無料



9月の予定/シリーズno.2]
作家の下重暁子さんが来宅。セミナー開催。
お話のテーマは「暮らしの中の工芸品」(未定)。
下重さんは、最近新しいエッセイ集を発表されました。
『晩年の発見』(大和書房1500円)という、彼女のいままでの人生から得た知恵や新しい暮らしを綴った内容で、人生最後のステージにどうしたらいい?等、参考になります。当日、サイン入りで本の即売も考えています。下重ファンには、期待のセミナーです。

9月末の特別展示会/土鍋]
伊賀焼の人気高い土楽窯より、土鍋を一挙に展示即売。


10月の予定/シリーズno.4]
輪島塗・山岸一男さんによる、輪島漆りのセミナー開催。

11月の特別展示会/志野と織部]&[シリーズno.5]
当ギャラリーの人気作家、新美さんの作品展。
また、ご本人が来宅して、美濃焼のセミナーも開催

12月の予定/シリーズno.6]
盆庭作家・石川さんによる、その成り立ちセミナー開催。

詳細は、順次お知らせいたします。

自分の心をじっくり見つめる時間はありますか・・・。








2011年8月3日水曜日

ギャラリー・すぎた の中は

今どきは珍しくなった門扉を開けてください。そこには、洗い出しによる石のアプローチがのびます。両側には、苔が生して・・・と言いたいのですが、先月の猛暑のおかげですっかり苔はお疲れ気味。最近、新たに植栽し直しました。
左手に、朱色の手桶がありますが、これは上海が日本に統治されていた時代のものです。残念ながら水が漏るので、そのままでは使えませんが、季節の花便りを生けていくつもりです。

玄関の三和土は、那智黒の石が洗い出しされています。那智黒といえば、囲碁の石として有名ですね。水洗いをし、拭きあげると、漆黒の艶を見せてくれます。
玄関の板間の材質は、大工さんに聞いても分かりませんでした。木材に詳しい方、教えてください。


奥の座敷は、約10畳間。堀こたつがあるので、冬になったらお披露目します。
いまは庭に面した廊下でお茶を飲むと、落着いた気分になれます。
この古い家屋には、杉材が多く使われています。という事もあり、人に言わせると「東北の大工が建てたのでは・・・」という説もあります。









その右手の部屋は、思い切り窓を大きくしてみました。
庭の緑を眺めながらぼんやりしてください。
また5〜6名のグループでおしゃべりをされるには最適な部屋です。

















そして展示コーナーに沿って入っていただくと、リビングキッチンがあります。ここは窓がオープンスタイルなので喫煙していただけます。庭に向かって椅子がふたつ・・当ギャラリーの特等席といえるかもしれません。庭に鎮座する地蔵さん、道祖神と静かに会話をしてみてください。ダイニングテーブルなら6席、カウンターに3席ほどご用意しました。














●カフェメニュー
●ドリップコーヒー650円。
●熊本産の和紅茶650円。どちらも甘味とセットにすると1,000円。(甘味は、手作りなので材料の仕入れと気分によって週変りです)
●勝沼産の甲州ワイン1,000円。
●北海道産のチーズ500円。

自分だけの時間と空間を大切にしていますか?

2011年8月2日火曜日

ギャラリーオープンしました。

台風6号が東京に接近した日、念願の工芸ギャラリーをオープンしました。
世田谷の学芸大学駅から、徒歩15分、住宅地の真ん中にある古い自宅での
ギャラリーです。門は一枚杉板の引戸・・・、というだけで、日本家屋の香りがしますよね。家屋は、関東数寄屋造りで、築50年になります。柱は傷がありますが、艶もほどよく出てきました。廊下の窓枠も木製で、隙間風が入ります。
そんな空間ですが、皆さん、すごく趣があると言ってくださいます。
小さな庭には、日本古来の草花がひしめき合い、今はユウガオの花が毎日、一輪二輪と咲いてくれます。
展示した作品は、作家さんの一点ものです。夏の暮らしを彩る陶磁器、麻地の藍染めのれん、木綿の反物、ショール。そして竹細工の花器、漆の塗物、帯地で創るバック、異空間を草花で表現する盆庭(盆栽とは、違いますよ)などを揃えました。
そんな中で、ドリップコーヒーはいかがですか?もう何十年とコーヒーを入れてきた私の腕にご期待ください。そして、季節のお菓子(手作り)も添えてお出しいたします。






ホッとしたい時、何か心が寂しい時には、ちょっと自分のための時間を味わってください。